さまざまなところで、お話している事ですが・・・
例えば、「ラム」とは?という定義を覚えたとして、役立つか?
そんなもの、必要ない!と思われる方が、大半でしょう。
でも、何十年もバーを経営してきた私の結論では、役に立ちます!ただし、私のように、カクテルセミナーでも開かない限り、人前で話す事は、ほとんどありません。
「ラムって、何?」という質問を、バーの営業中に受けた事は、バー経営に携わってから、2~3回ぐらいしかありません。だったら、わざわざ学ばなくてもいいのでは?と思われるでしょう。
でも、ラムの定義を理解することで、その扱い方や、カクテルの作り方に工夫が生まれるのです。
例えば、「スペインに関係するカクテルを作るには?」という課題の時。
私の頭に浮かぶのは、あるスペイン産のリキュールと、スペイン系の植民地で発展したラム!おそらく、この二つをベースに、オリジナル・カクテルを作るでしょう。こういう時に、こうしたラムの定義や種類が生かされるのです。
全ての知識は、無駄になる事はありません。ただ、それを、どう生かすか?は、あなた次第です。ですから、ラムの定義や種類なんて、どうでもいいよ!そう思われた時点で、すでに、レベルが、かなり落ちてきているわけです。
そして、もうひとつ、知識を磨く理由があります。
知識を磨く、もうひとつの理由は、自分自身に自信をもつためです。バーを経営する上で、お酒の知識に自信がある場合と、自信がない場合では、当然、結果が違ってきます。
ただ、間違ってほしくないのは、知識を習得したからといって、それは、自慢するものではない!という事です。自信がない人に限って、店で、ついつい知識を披露したがります。
私は、お客様に、聞かれなければ、まず、店で語る事はありません。特に、創業50年を越えたころから、スタッフに、完全にカクテル作りを任せました。お客様によっては、カクテルを作れない店主と思われていたでしょう。それで、ぜんぜん構わないと私自身思っています。
カクテル作りについて、私よりも、スタッフが、輝いてくれた方が、私にとって嬉しいのです。そして、そのカクテルも、決して、老舗の味は、こうだ!という押し付けはしません。むしろ、お客様の口に合うかどうか?お客様に、お伺いを立てる立場をとっていました。
もともと、その知識力や技術力で脚光を浴びることによって、店を維持・繁栄させようと思っていませんでしたので、こうした対応となっていました。こうした経緯は、別の記事で、お話しした「モスコミュールが作れない、バーテンダーの真実とは?」を、ご覧頂ければ、ご理解頂けると思います。
私は、上手にカクテルが作れるにもかかわらず、カクテルを作れない!といって、お客様から、侮蔑の態度をとられながら、対応していた時期があるのです。でも、そのおかげで、何が大切か?を、骨の髄まで理解できたのです。
このような経験をし、知識を披露する事を、店の運営上でも重視していないのが私です。かなり変わっているとは思います。でも、こうした経営方針の店であっても、知識は必要なのです。
全ては、バーを経営するときに、貴方の自信につながり、見えないところで、役立つものなのです。