誰もが最初に悩む、カクテルレシピの暗記! バーテンダー初心者の方は、誰もが、覚えるのに苦労するのでは? 本やネットで調べると、考えられないぐらい膨大な数のカクテルレシピが、ありますからね。
バーテンダーの中には、記憶力の優れた方があり、数千に及ぶカクテルレシピを覚えているツワモノも、いらっしゃると思います。実際、いらっしゃいます。
それは、それで、凄いことだと思いますし、それを「ウリ」にした経営も「あり」か「なし」か?といえば、「あり」でしょうか?
まあ、お客様に、カクテルを提供する立場にあって、カクテルレシピを、全く覚えていないというのはありえないことです。
それでも、カクテルレシピを、丸暗記して覚える!という事には、 私の考え方ですが、「否」「違~~う」と、叫びたいところです。いや、はっきり、「違う!」と断言します。
誤解をまねく表現ですので、ちょっと長くなりますが、私の話を、聞いていただけますでしょうか?
この世で、最初にできたカクテルは、諸説、いろいろあるようですが、そこは、今回、問題ではありません。常識的に考えてみようというのです。
例えば、あるバーで、素晴らしいバーテンダーにより、「素晴らしく美味しいカクテル」が誕生したとしましょう。
その「素晴らしく美味しいカクテル」を、そのバーや、バーテンダーの「ウリ」にするのもいいですが、美味しいものは、できる限り、大勢の人に楽しんでもらいたいとします。
あなたなら、どうしますか??
そう、おっしゃる通り!!
ここで、「カクテルレシピ」の登場です。
この「素晴らしく美味しいカクテル」の作り方を、カクテルレシピに書くことによって、遠く離れた、全く違う場所で、創作者とは違うバーテンダーが作っても、同じように「美味しいカクテル」が飲めるようにしよう!
これが、「カクテルレシピ」のもっている本来の姿であることに間違いはありません。
ここで、先ほど、私は、創作者とは違うバーテンダーが作ったカクテルを「美味しいカクテル」と言いました。
「素晴らしく美味しいカクテル」とは、言いませんでした。
勘の鋭い方は、気付いてますよね。
「カクテルレシピ」に書いてある通りに作ったものは、うまくいったとしても、せいぜい「美味しいカクテル」で、「素晴らしく美味しいカクテル」ではない!という事です。
なぜか?・・・
せいぜい「美味しいカクテル」で、「素晴らしく美味しいカクテル」ではない!という事???
これは、常識的に考えれば、カンタン!
「素晴らしく美味しいカクテル」を、「カクテルレシピ」にしようと考えた時、あなたなら、どうしますか?
まず、そのカクテルに入っている材料についてですが、ありのまま、そのままを書く人もいるでしょうが、あまりにも多くの材料を使用するようであれば、一部を削除して、分かりやすくしようと思いませんか?
「素晴らしく美味しいカクテル」ではなくても、「美味しいカクテル」となる可能性があれば。また、そのようなカクテルレシピにすることで、そのカクテルを、より多くの人に普及することができる可能性があるのであれば!
また、これは、カクテル材料の分量についても同じ事が言えます。
そのカクテルの材料について、ありのまま、そのままを書く人もいるでしょうが、あまりに、細かな指定で、8mlとか、13mlとか、書いてあったら、見るのも嫌になると思いませんか?
・・・であるなら、5で割り切れるような数字で、5ml、20mlとか、分数表記で、1/2、1/3の方が、分かりやすくて、覚えやすいでしょう!
これが、「カクテルレシピ」というものです。ですから、一般的なカクテルレシピは、絶対のものではない!と、いうことなのです。私は、そう考えています。
もちろん、異議を唱える方も、反論もあることでしょう。
カクテルレシピは、材料が同じでも、ほんの少し分量が違えば、カクテル名が変わります。
カクテルレシピ通りに作るのが、バーテンダーの役目である!と、徹底的に唱えられる方もあります。レシピに手を加える事自体、タブーで、おこがましいことである!と。
それは、それで、ひとつの正しい意見として、それで良いと、もちろん思っています。ただ、私は、変わり者なので、正しい事が、たったひとつだけ!とは考えない人なのです。
「カクテルレシピ」の本来の役割が、誰でも、どこでも、「美味しいカクテル」が飲めるようにすること!であったとするならば、「素晴らしく美味しいカクテル」を作れるように、そのカクテルレシピを参考にして、創りだすのもバーテンダーの役割だと、私は思います。
ですから、「カクテルレシピ」に偏りすぎてしまった、今の、この世の中の風潮や、業界の常識を、ひとつの正しい考え方ではあるけれども、他にも、正しい考え方があるよ!と言いたいのです。
「バー」で提供される「カクテル」について、「カクテル名」や「カクテルレシピ」が、先行してしまい、バーテンダーも、お客様も、そこに縛られすぎのような気がするのです。
「カクテル名」や、「カクテルレシピ」は、「美味しいカクテル」の標準にすぎない!
・・・なかには、「まあまあ耐えれる味のカクテル」というようなレシピもあり、カクテルレシピ通りでは、かなりまずい!ものもあります。バーテンダーも、お客様も、「カクテル名」と、「カクテルレシピ」の呪縛から開放されるべきなのです。
もちろん、「カクテル名」でオーダーをする事自体に、雰囲気やムードを演出する部分もあり、それは、それで、大事にしていかなければならない部分だと思います。
私が考えるバー本来の姿は、お客様が、カクテルやお酒の知識がなくても、気軽に楽しめる雰囲気の店です。(あくまで、個人的見解です。)
なかには、バーでの飲み方や作法などを、いろいろ押し付けるところもあるようですが、それが、経営のひとつの手法=その店の魅力として行っている場合は、それは、それでOKです。
そうではない場合は、そこまでしなくても、常識的に、大人のマナーを守って頂く事さえ、お客様に気をつけて頂ければ、あとは、バーで飲む特別なルールなど必要ない!と思います。
そして、誰もが、カクテル名など全く分からなくても、バーで楽しめるようになってほしいと思います。
そのためには、バーで飲むのに、少しは、カクテル名ぐらいわからないと!と、一般の方が考える事自体が、ナンセンスだと思いますし、そう考えさせないように、できる限り、カクテル名で注文をする事自体が、ナンセンスな雰囲気を作ったバーが一般的になる事が、必要だと思います。
もちろん、定番と呼ばれるような「ジン・トニック」や「モスコミュール」のようなカクテルは、今さら、消し去る事はありません。こういった定番のカクテルは、バーによって、主張があり、作り方が違うもので、それは、それで、楽しむべきものだからです。
「カクテル名」や「カクテルレシピ」を全く消し去るとか、極論ではなく、少しだけ、ウェイトを、味わいや雰囲気で注文する方向にシフトした方が、お客様のためにも、この業界のためにも、これから先の時代には、必要だと考えているのです。
「カクテルレシピ」は、バーテンダーが参考にして、「素晴らしく美味しいカクテル」を創りだすための基礎=原石にすぎないのです。
そして、これから先のバーでは、せいぜい定番のカクテルが50種類ぐらいで十分だと思うのです。
バーテンダーに要求される能力は、お客様の好みにあうものを創り出せるようにすることです。ですから、定番の50種類以外の、星の数ほどある「カクテルレシピ」は、その能力を磨くための参考にするものでしかないのです。
お酒やカクテルの作り方の勉強をするためにあるのが、星の数ほどある「カクテルレシピ」の存在意義なのです。
だからこそ、「カクテルレシピ」の丸暗記ではなく、その意味を知る事が必要となってきます。
「カクテルレシピ」の意味とは・・・・
カクテルレシピが、なぜ、こういう材料と分量になっているのかを、読み取る事。それが、カクテルレシピの意味を知る!ということです。
では、どうすれば、カクテルレシピの意味を、読み取れるようになるのか??
これは、ここで、カンタンに解説できるものではありません。正直、お酒の基礎から学習して頂く必要があります。
ただ、何のために、お酒の基礎を学習する必要があるのか?意味がないように思われていた方には、少し学習意欲を持っていただけたのでは?
こうしたカクテルレシピの意味を、どのように理解していくか?というのは、バーテンダーやバー開業を目指される方には、非常に重要で必要なテーマです。
ですから、私が創りだしたバーテンダー教材でも、かなり詳しく解説しています。ここまで、お話した事を理解して頂け、賛同頂ける方には、この教材は、素晴らしくお役にたつはずです。
カクテルレシピに頼らずに、カクテルを創りだせるようになります。
・・・とまあ、ココまでの話で、「カクテルレシピ」の暗記はしなくても、いいんだ!と、胸をなでおろした方もあると思いますが、それは、ちょっと違うかもしれません。
なぜなら、私自身、「カクテルレシピ」の呪縛にはまり、500種類ぐらいのカクテルは、完璧に覚えこんだ経験があるからです。まだ、20代の初めで、暗記力に自信のあった頃の話です。
結局、この頃は、カクテルレシピに頼った作り方しかできませんでした。ただ、このカクテルレシピを覚え、覚えると作ってみたくなり、さまざまなカクテルを試飲し、その中で、お酒やカクテルに関して、知識・技術が培われてきたのも事実です。
カクテルレシピは、丸暗記するべきものだとは、今の私は、思いませんが、丸暗記した事は、ムダにはなっていません。
カクテルレシピを暗記するという面倒で根気の要る作業を、避けて通ろうと、何とか、楽をしよう!と考えているのであれば、あなたの、お酒やカクテルに関する知識・技術は向上することはありません。
たかだか、数百のカクテルレシピを覚える事よりも、本気で、バーテンダーになり、さらには、バーを開業し、バーを経営するのであれば、もっと大変な作業が、たくさんあります。
お話してきた「カクテルレシピ」不要論は、決して、楽して、カクテルをマスターしよう!という事ではございません。