バー経営で、小さなバーが、大手飲食店に勝つ方法(後編)
バー経営で、小さなバーが、大手飲食店に勝つ方法(前編)からの続きです。
小さなバー経営における、付加価値は?
前回の後半部分から、話を続けましょう。
小さなお店では、資本力のある店よりも「付加価値」の高い店はできないか ?というと、全く、そんな事はありません。むしろ、より「付加価値」の高いお店を作ることが可能です。
なぜなら、資本力がないからこそ、アイデアと本気度の差が、大きな付加価値となるからです。当然、お酒やカクテルの知識・技術は、資本力で、どうにかできるものではありませんから、まずひとつ、大きな「付加価値」となります。
また、小さなバーでは、当然、 お客様はもちろん、スタッフも含め、親近感の度合いが高くなり、これも、大きな「付加価値」のひとつです。
さらに、大規模店舗では、お客様一人の影響力は小さいのですが、小さなバーであれば、お客様からすると影響力が大きく思えます。
「この小さなお店を、応援してやろう!」というお客様自身の重要感が、非常に大きくなります。つまり、満足度が高くなり、これも大きな「付加価値」です。
この「付加価値」は、皆さんが思うより、非常に大きなものです。社会人で知らない人はいない、名著、D・カーネギーの「人を動かす」を、ご覧頂いた方は、よく分かると思いますが、 人間の一番大事な欲求とは、「自己の重要感」です。
この「自己の重要感」を満たすために、人は、さまざまな努力をするわけでして・・・ この重要感が、社会的地位で満たされる方もあれば、 金銭で、持ち物で、趣味で、家庭で、考えればキリがない程、 人は、自分の存在価値を認めてもらうための努力であれば、惜しみない労力をさくものです。
ですから、この部分を満足させられる店であれば、 当然、お客様に必要とされ続けるわけで、長く続くお店の、最大のポイント! といっても過言ではありません。
お客様に、「貴方様が、当店の存続を左右しているのです」と、 率直に、素直に、助けてもらえば良いのです。 応援してもらう事が、大切です。
付加価値を考えた上での、バー経営
応援してもらうのはいいのですが、甘えてはいけません。 一生懸命努力し、お客様が認めるサービスを提供しようと、 頑張っている姿は絶対条件ですが、それも、開店からしばらくの間だけのこと です。
最初は、カクテルの味なども、未熟でも許して下さる方もあるでしょう。 しかし、いつまでも、それは続きません。 それでは、お客様が、自分の大切な友人や知人を、紹介しようにも、 自分の重要感を下げる事につながり、欲求が満たされなくなるからです。
小さなバーでは、紹介して頂くお客様を大事にしないと、間違いなく継続できなくなります。 広告やチラシなどでの集客をメインとしてよい店は、大規模店舗の場合です。
小規模店で、広告頼みの経営をしていると、遅かれ早かれ、行き詰まってしまいます。 口コミにまさるものはありません。 信頼できる人から紹介されたところであれば、 その後、また、別の方への紹介と、お客様の連鎖が始まるからです。
ですから、随分、話がそれましたが、 「付加価値」として重要なのは、お客様の自己の重要感を満たすことです。 そのために使用する道具として、お酒やカクテルや、接客や会話があるのです。
この部分を間違えて、単に、知識や技術、あるいは、 希少価値のあるお酒やカクテルの味わいだけで、何とかなると思ったら大間違いなのです。本末転倒なのです。これは、経営を長く続けていく場合に、本当に重要なことなのです。
もちろん、知識・技術も、希少価値のあるお酒も、美味しいカクテルも、必要です。 間違えないで下さいね。 それらだけで、何とかなると思うことがいけないのです。
そういう事を理解した上で、経営を考え始めた時、真の経営者としての第一歩が始まるのです。
今回のテーマ、長すぎましたね。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。